薬に関する知識
1.クスリはどこで調剤してもらう?
お医者さんに診察してもらうと、たいてい薬をもらうために「処方箋」が渡されます。
その時、あなたはどこの薬局に渡された処方箋を持っていきますか?
多くの人は、診察を受けた病院やクリニック等の近くにある調剤薬局だと思います。
しかし、実は、家の近くにある調剤薬局でもよいのです。
よいと言うよりは、むしろその方が望ましい場合もあるのです。
なぜかというと、自分の「かかりつけ薬局」をつくることで、かかりつけのお医者さんがあなたの病気やけがなどを診てくれるように、かかりつけの薬局の薬剤師さんに薬の管理を手助けしてもらえるということです。
自分にとって便利な、また、よいと思う薬局をみつけて、大いに利用してみてください。
2.OTCって何?
OTCとは、Over The Counter Drug の略で、一般医薬品ともいい、みなさんが薬局・薬店で自由に購入できる薬のことです。(医師の処方箋により服用する薬を医療用医薬品といいます。) 最近では、 プライマリィケアや、 セルフメディケーションすることが重要とされてきています。
注:アレルギーや併用薬、既往歴がある方は薬局・薬店の薬剤師さんに相談してください。
プライマリィケア
健康を維持するために、病気やけがの予防や初期段階に行う治療のこと。
これを行うことで、病気やけがの治りも速く、苦痛なども少なくすむことが多い。
セルフメディケーション
自分の健康を管理し、軽い病気やけがは自分で治療すること。
これを行うことは、医療費削減にもつながる。
3.薬と食べ物との関係
食べ物により、薬は様々な影響を受けます。
多くの薬は、食前・食後・食間などと薬を飲む時間を指定されます。
その理由の一つとなる吸収との関係のついて紹介します。知っていると得するかも?!
吸収が遅くなる
一般的に、食べ物により胃の内容物が腸へ排出される時間が遅くなり、薬の吸収が遅くなります。
また、食べ物に消化管内の水分が奪われて、薬(カプセル剤や錠剤など)の溶解が遅くなることもあります。
吸収が早くなる
脂溶性の薬などは、脂肪の多い食べ物により吸収が促進されるものもあります。
脂肪食により胆汁の分泌が増大することや消化管の血流速度が速くなることが関係しています。
4.薬とお酒の飲み合わせ
アルコールと薬は一緒に飲んではいけないことは誰もが知っていますが、なかなか守れていないようです。 しかし、体のためにはアルコールを飲まない勇気も必要です。
薬によっては、作用が強まって副作用が現れたり、一生後遺症が残ってしまうような症状が現れたりする事もあるのです。
以下にいくつかの例を紹介しますので、参考にしてください。
睡眠薬(ハルシオン錠など)
アルコールは肝臓においてアルコール脱水素酵素とcytochromeP450との触媒により代謝されるが、ハルシオンなどの睡眠薬も cytochromeP450の触媒により代謝されるのでアルコールによりその代謝が阻害されるために、薬の血中濃度が高くなり、作用が増強します。
また、アルコールとハルシオンはともに中枢神経系に対し抑制的に作用するが、併用すると脳内の作用部位で協力的に作用が増強します。このため、記憶障害等が引き起こされます。
ワルファリン・トルブタミド等
アルコールの大量長期摂取時のcytochromeP450誘導により薬物の代謝が亢進し、作用が減弱する。
ジスルフィラム等
二日酔いのもとであるアセトアルデヒドを分解する酵素アルデヒドデヒドロゲナーゼの阻害によりアセトアルデヒドが蓄積し、ジスルフィラム様作用(顔面紅潮、悪心、頻脈、多汗、頭痛など)が生じます
cytochromeP450
cytochromeP450とは肝臓中に存在する薬を代謝する酵素の一種で、この酵素を介する薬の相互作用が注目されています。
この酵素は薬や食べ物等により作用が促進されたり(誘導)、抑制されたり(阻害)します。
5.妊婦と授乳婦の方への注意
妊婦や授乳婦の方は、赤ちゃんの健康はもちろんですが、自分の健康にも十分気をつけましょう。
なぜならば、薬によっては胎盤や母乳を介して赤ちゃんに影響を及ぼすものもあります。
それどころか、濃縮されて赤ちゃんに移行するおそれもあります。
そのため、お母さんが薬を飲む必要がないように健康でいることが一番ですが、もしも薬を飲む必要が場合には、自分で判断せずに、医師・薬剤師等に相談しましょう。
赤ちゃんへの影響について
妊婦
受胎直後は薬に対してほとんど影響を受けないか、死滅してしまうか、のどちらかです。
胎生4~8週間では胎児の様々な器官がつくられる時期であり、最も奇形が生じやすい時期でもあります。この時期を過ぎると重篤な奇形が生じる確率は減りますが、神経系等の感受性は高いので、ある種の薬により障害や発育遅延などが問題となることがあります。
授乳婦
母乳を介して薬物だけではなく飲食物の影響も現れることがあります。
多量のアルコールは乳児に移行してアルコール中毒症状等がみられたり、多量のカフェインの移行で、いらいら状態や不眠の原因となることがあります。
また、妊婦・授乳婦ともにタバコは赤ちゃんに悪影響を与えます。周りの方にも控えてもらいましょう。
しかし、すべての薬が同じように危険なのではなく、安全性が認められている薬もあるので、病院や薬局で薬を調剤してもらう際には、妊娠又は授乳している事をきちんと伝えて適切な治療を受けましょう。
一般薬は多種の成分が配合されているので避けてください。
6.子供用の薬と大人用の薬
OTCは、用法用量どおり正しく服用していますか?
薬には、大きく分けると大人用・子供用があります。
これには、体の大きさの違い、薬を解毒する働きの違いなどがあるため、全く同じ薬では、効果が強すぎたり、弱すぎたりしてしまうという理由からです。
本当は、一人一人適当な薬の量や種類は異なるのですが、一般的に、大人用の薬は標準的な成人を基準にしてつくられています。
減量する程度で、子供も飲める場合には、「用法用量」というところに、「何歳以上は何錠」「何歳未満は何錠」と書いてあるのです。
「子供が急に病気になったので、薬を飲ませたいけど、
大人用の薬しかないから量を減らして飲ませた」なんてことありませんか?
たまたま大人用も子供用も有効成分はほぼ同じ薬や、ほぼ量が近い薬もありますが、全くちがう成分のものもあります。 そのため、予想外の事態が起こることも十分あり得ます。
量が少ないからと言って安心とは言えません。
子供用の薬だったら、大人が飲んでも大丈夫?
これも、NOです。
大人用の薬と子供用の薬とにはそれぞれ1回量の基準がきちんと決められています。
また、子供用だからといって作用が弱く、副作用が少なく、安全であるは全くいえず、アレルギーを持つ方など人によっては大人用の薬を飲んだときと同じように危険性を伴います。
薬を安全に服用するためには、やはり決められた薬の用法用量はきちんと守りましょう。
7.小さな子供の薬の服用
小さな子供は、まだ体の様々な機能が発達段階の途中なので、大人とは違うことがあります。
また、お子さんに薬を飲ませるのに大変苦労をしているお母さん方も多いようです。
その際には、注意していただきたいことがいくつかあります。
OTCを利用する際
説明書に従って服用させる。
子供用の用量等の記載がない薬はたとえ少量でも服用させない。
安全に服用するための基本です。
医師の処方箋による薬を服用する際
医師・薬剤師等の指示に従う。何かあったときの連絡先を控えておく。
どの薬においてもいえること
だんだんと、薬をなぜ飲むのかを教える。
お菓子だといって、ごまかしつつ飲ませている方もいるようですが、薬を安全に服用するためにはきちんと教えてあげる必要があります。小さな子でも、親の真剣な表情を見ればわかるはずです。
ミルクと一緒に飲ませない
ミルク嫌いの原因となります。
また、薬によって(特に抗生物質等)は、薬の吸収を低下させてしまいます。
他にも、まだまだ注意することはたくさんありますが、最低限上述のことは守って、 安全にそして有効に薬を服用させてください。